車間距離の重要性

○あなたは前の車が急制動をかけたときに追突しない自信がありますか?
多くのひとが追突しない自信があるのではないでしょうか、追突しないと自分が思える車間で走っていることでしょう。

○あなたは時速60キロ走行を速いと感じますか?
 あまり感じませんよね。時速50キロ制限のところを多くのドライバーはそれ以上の速さで走ります。あなたは何気なく時速60キロで走り、時速60キロでも問題なく車線変更をしているでしょう。

なぜたくさんの自動車が速い速度で走ることができるのか

でもですよ。車から降りて歩行者として時速60キロで走り抜ける車を見て速いなぁと感じませんか?しかも交通量が多くてもびゅんびゅん走り抜けていく車がぶつかることなく車線変更しながら走っています。びっくりですよね。なぜ人間にこのようなことができるのでしょうか。

答えは走っている車同士の相対速度の小ささにあります。

○時速60キロで走る車から前方を時速60キロで走る車を見ると相対速度が時速0キロ(同じ速さ)であるため止まって見えます。
 ○時速50キロで走る車から前方を時速60キロで走る車を見ると自分から時速10キロで離れていくように見えます。
 ○時速60キロで走る車から前方を時速50キロで走る車を見ると自分に向かって時速10キロで近づいてくるように見えます。

時速10キロ程度で前の車が近づいてきも、どんなひとでも対応することができるでしょう。時速10→0キロになるようブレーキで速度を落とすだけです。たった時速10キロですからたいしたことはありません。このことは高速道路でも同じことです。人間でも十分対応できます。

急ブレーキをかけるということはどのような現象でしょうか

時速60キロで走る車の場合、危険を認識して、限られたわずかな時間で時速60→0キロと変化させることです。

後ろを走っている車からこの車はどのように見えるでしょうか?後ろを走る車から見ると、突然、わずかな時間で前の車が自分に向かって時速0→60キロへと相対速度が爆発的に増加することになります。あなたはこれに対応できますか?おそらく交通教本にあるような十分な車間距離がなくては普通の人間には不可能でしょう。プロのレーサーであれば可能かもしれませんがね。

以前、ふだん車間距離をとらずに走る知人が急ブレーキをかけた前の自動車に追突しました。彼はよそ見をしていたわけでも、前の自動車の急ブレーキに反応できなかったわけでもありません。ただ普通の人間では自分に向かって爆発的に増加する相対速度に対応することができないのです。

車間距離を取らないひとは前の車だけを追っているように見えます。まわりを見ないで走ると前の車の急制動も予知できません。

車間距離をとって走りましょう

車間距離を取らずに走ると速く走ることができると考えているひとが少なからず見られます。この考えは正しくありません。前を走る車と同じ速さで走っている以上、車間距離を少なく取ろうが多く取ろうが前を走る車との相対的な速さは同じ時速0キロであるからです。信号機が赤になる前にぎりぎりで通過できることもあるかもしれませんが、青信号の時間を考えればほんのわずかしか違いはありません。増加する事故のリスクを考えればいいことは何もないのです。交通教本に載っている車間距離を取ったからといって遅くなることはありません。

ドライバーは危険予知をしながら走らなければなりません。車間距離をとらないひとの目は前を走る自動車ばかりを追っています。このようなドライバーはたとえば前方で左折するために減速する自動車の存在に気づきません。あくまでも目の前を走る自動車の減速によって自分も減速をするのです。ふだん車間距離をとらない知人の話ですが、片側2車線の道路で、彼は前の車を追い越そうと車線変更をしてすぐに前方に駐車している自動車を発見し急ブレーキをかけたそうです。このように車間距離をとらずに走っていては前方の様子などわかりません。危険予知のためにも車間距離をとらなければならないのです。

結論としては車間距離は必要十分に取りましょう。しかし、前の車との距離がだんだんと離れていくようではいけません。交通社会で流れはとても重要です。他の車よりも速すぎても、遅すぎてもいけないのです。あくまでも前の車と同じ速さで、車間距離を取って走るのです。

また、誤解しているドライバーが多いのですが、車間距離を取らずに走ることは渋滞を助長することにつながります。

車間距離をとらない後続車

自分が運転する車のすぐ後を車間をつめて走る車がいたらどうすればよいでしょうか。

まずは自分が前の車との車間距離を多めにあけ、急ブレーキを踏む場面を作らないようにしましょう。続いてブレーキランプを光らせ、後続車に車間距離が短いことに気づかせましょう。

それでもあいかわらずであれば先に行かせること考えましょう。片側二車線であれば少し減速しましょう。車間距離をつめて走るひとはせっかちさんが多いのでこれに耐えられず車線変更してゆきます。

片側一車線であれば見通しのよい直線道路まで走り、左ウインカーを出し車を左側へと寄せましょう。追い抜いていくはずです。ただし、カーブの手前など見通しの悪いところでは絶対にやってはいけません。正面衝突という大事故を誘発してしまいます。