交通事故が発生したとき

交通事故の様態と加害者・被害者

交通事故の様態

交通事故の様態には人身事故、物損事故があります。

人身事故とは、過失により死傷者が出た交通事故をいいます。負傷者が医師の診断書を提出した場合に人身事故として処理されます。

物損事故とは、過失により器物の損壊があった交通事故をいいます。死傷者がいなければ物損事故として処理されます。

交通事故の加害者・被害者

民法において加害者とは、故意又は過失により他人に損害を与えた者をいいます(民法209条)。これに対して損害を受けた者を被害者といいます。しかしながら交通事故における加害者・被害者という言葉は交通事故の場面によって異なる使われ方をしています。

一般的には交通事故当事者の過失割合によって加害者・被害者が決まっています。過失割合が大きい方を加害者、小さい方を被害者と呼んでいます。特に車両対歩行者の事故の場合、過失割合にかかわらず車両を運転する者を加害者と呼んでいます。

自賠責保険では人身事故において、相手を死傷させた者を加害者、相手により死傷させられた者を被害者といいます。交通事故の当事者双方が死傷した場合、双方とも加害者であり被害者でもあるといえます。この場合、加害者、被害者の関係は過失割合とは関係がありません。

交通事故を起こした人の責任

交通事故を起こすと内容に応じて民事上の責任・刑事上の責任・行政上の責任を負います。

民事上の責任

人身事故、物損事故を起こした場合、民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」により加害者は損害した被害者の生命、身体または財産に対して損害を賠償する責任を負います。被害者に過失があれば過失の度合いに応じて過失相殺されます。

刑事上の責任

過失により人身事故を起こした場合、自動車過失致死傷罪、重過失致死傷罪、危険運転致死傷罪、過失建造物損壊等に問われます。

刑法に基づいて罰金、懲役などが科せられます。

行政上の責任

人身事故を起こした場合、点数制度による反則金納付命令や運転免許の停止、取消しといった行政処分がなされます。

過失割合とは

交通事故のほとんどは事故を起こした運転者双方の過失により起きます。

前方不注意といった道路交通法に違反した場合、また、だろう運転や事故の回避行動を取らないといった運転をする上での常識を欠いていた場合に過失となります。

過失割合とは、交通事故における事故当事者の過失の程度により決められる過失の割合です。

過失相殺とは

過失相殺とは民法第722条「被害者に過失があるときは、裁判所は損害賠償の額を定めるにあたりこれを考慮することができる」により被害者の過失の程度に応じて損害賠償額が減額されることをいいます。

例えばAとBの交通事故において過失割合が7:3であったとします。このときのBの損害額が1000万円であった場合、AはBに対し1000万円の7割である700万円の賠償責任があるということになります。 自賠責保険においては被害者の過失が軽度であれば過失相殺は行われません。被害者の過失が重度であれば過失相殺が行われます。これは自賠責保険が被害者を救済することを目的としているからです。